受験にも知育にも興味ない 東大卒ママの育児日記

受験にも知育にも興味ないズボラな東大卒の二児の母が、おすすめの育児書や絵本を紹介したり、教育についての思いをつらつらと語ります

【育児本】『世界トップ機関の研究と成功率97%の実績からついに見つかった! 頭のいい子にする最高の育て方』 ③

 

 

前回の記事の続きです。

子どもの学習方法についても、興味深いことが書かれていました。著者は、小さな子どもの学習を進める方法として、子どもにとっては少し簡単なレベルの知育ドリルを自分で選んで行わせる、という方法を推奨しています。面白いのは、知育ドリルを取り組ませることで「分かっているはずなのに解けない」という子どもの状態を分析していること。

生活の中のコミュニケーションで無意識に使うことと、それを意識のレベルで使うこととは、理解の度合いがずいぶん違うのです。

 

これを説明する例として、ストリートチルドレンが、自分の仕事でするお釣りの計算はすごく早く正確にできるのに、算数の問題を出すとさっぱりできない、という例を挙げています。

これを知識の領域の固有性といいます。おつりの計算と算数の問題で、やることはほとんど同じなのに、状況が違うと分からなくなってしまうというものです。

これは、子どもに勉強を教えていると、すごく納得できます。こちらからすれば、子どもが分かっているはずの、簡単な言葉の使い方や足し算の問題など、ちょっと違う問題パターンになったりすると全然解けない、ということがしばしば起きます。教えている大人からすると、「え、こんなことが分かっていないの!?」とショックを受けてしまうくらいなのですが、小さな子どもには至って普通のことなのだ、ということがよく分かります。大人が考えているよりも、子どもの基礎的な《知識の領域の固有性》は高いということなんですね。これを克服するためには、大人が先に問題を解いてみせる、そして、その知識を生活や違った文脈に置いて確認させる、といったことが必要になります。大人が思っているよりもずっと似たような同じ問題を繰り返し解いてみないと、理解が定着しない、ということでもあります。

この本では、幼児のひらがな、数字、計算、読解の力を高めるための具体的なステップ別の方法が示されています。我が家はもう6歳と8歳なので、この時期は過ぎてしまいましたが、音韻意識を高めるためにしりとりと童謡を取り入れる、乳幼児が生活や遊びの中で五感を使って理解する「インフォーマル算数」に取り組む、など、赤ちゃんの時から参考になることが多いです。

最後に、幼児の「習い事」についての内容に触れておきたいと思います。「習い事」については、また別の記事で書きたいな、と思っているのですが、この本でいくつか印象に残ったことを記載しておきます。著者は、AIなどで未来に必要とされる仕事や能力が不確かな今、子どもが習い事を通じて身につけておくべきなのは、必要になった時に必要な能力を自分で身につける「自己調整学習力」である、と述べています。

伊藤崇達博士によると、自己調整学習というのは「学習者が『動機づけ』『学習方略』『メタ認知』の3要素に解いて、自分自身の学習過程に能動的に関与していること」です。『動機づけ』とはモチベーションです。『学習方略』というのは「どうやったらうまくできるかな」と考えたり、「なんだか集中できないけど、どうやって気分転換しようかな」と自分で考えたりする力です。そして『メタ認知』というのは、「今、自分はどのくらいできるのかな」ということを理解する力です。自己調整学習力がある人というのは、この3つのことがしっかりとできる人のことです。

ただし、『学習方略』や『メタ認知』は幼児期には十分に育たないといわれています。およそ小学校3年生くらいから成長する力です。特にメタ認知は幼児期にもその萌芽は見られますが、基本的に幼児期は発達途上にあります。

むしろ幼児は、自分の実力をきちんと理解できないがゆえに、どんなことにもチャレンジできますし、結果がうまくいかなかったとしても、それを失敗と思わないで済みます。子どもは「無理」とか「失敗」という概念を大人が教えない限りは、自分のことを天才だと信じているわけですね。

 

 引用が少し長くなりましたが、幼児期はまだまだ自分を客観的に見て進歩の必要性を判断したり、そのための工夫をしたり、という力は十分でないわけです。だから、ある意味で、習い事をやってみたい、と自分で言ったのに、思ったのと違ってすぐに嫌になったり、それを乗り越えて頑張りつづよう、と思えないのは至極当然のことだと言えます。幼児期の習い事で大切なのは、「動機づけ=モチベーション」であり、まず何より「楽しいという気持ち」、そして「自分で決めた」という自己決定感や「これは大事なことなんだ」という受容感、「自分がうまくできる」という有能感が重要だと書かれています。そういう意味で、習い事には親が得意なことや好きなことを選び、親も真剣に取り組むことが必要だ、ということです。

そして最後にもう一つ、習い事はあくまで生活の中にアクセントとして取り入れてください。これまでお伝えしたように、子どもは主体的な遊びの中で本当に多くのことを学びます。この時間が奪われてしまい、肝心の知性が育たなければ、どんなに自己調整学習力を育んであげたところで本末転倒となります。習い事は週に1日、多くて2日に留めておくことが大切です。